日本の常識喫煙?米国の常識嫌煙?


私どもではプロ野球、Jリーグ、競輪、ゴルフといったプロスポーツを始め、アマチュアスポーツのトップレベルの選手を、個人的にコンディショニングを始めとするトレーニング指導をしています。この個人指導をする前に必ずお伺いしていることがあります。それは「タバコを吸っていますか?もし、吸っていらっしゃるのであれば、やめない限り指導は致しませんと。」これはどう言うことかと申しますと、タバコを吸っていて出来るレベルでやっているのであれば、私どものトレーニングを取り入れる必要はないということです。なぜならばスポーツ選手にとって百害あって一利なしだからです。それどころかマイナスになる要素のほうが遥かに大きいのです。ところが日本では、平然とプロスポーツでもタバコを平然と吸っている姿を目にします。もっとも驚かされたのは、プロ野球のファームのゲームを観戦しに行った時のことです。何と試合前からベンチ裏でぷかぷかタバコを吸っているではありませんか。その選手だけではありません。数え切れないほどの選手が、ベンチに戻ってくる度タバコを吸っているのです。しかも、試合中もベンチに戻ってくる度に吸っている選手までいます。その選手の中には、私も記憶している数年前にドラフト上位で入団をして期待されながら、まったく鳴かず飛ばずの選手がいました。何もこれはプロ野球だけではありません。あれだけ肉体を酷使する競輪でも、レース後に一服吸っている選手がいるというのですから、開いた口が塞がりません。なぜ、タバコが選手に必要ないのでしょうか。タバコによる害を上げてみますとどうなるでしょうか。

  • 血液の粘度を高めてしまいます
  • 血液中の血糖値を高めます
  • 動脈壁を痛めコレステロールを沈着しやすくします
  • 気管・肺などの粘膜を傷つけます
  • 血管の末梢を収縮させます

まず、血液の粘度が高まりますと、血液を末梢に流し出すために心臓に多大な負担が掛かります。ただでさえ、スポーツ選手は心臓を酷使する立場にありますから、余計なストレスを心臓にかけることは当然の事ながらパフォーマンスを低下させる要因になります。また、血液中の血糖値が高まり、糖尿病を引き起こす原因にもなります。そして心臓から強く血液が、動脈へ押し出されてきますので、動脈壁を痛めつけることになり、その動脈壁を守るためにコレステロールが沈着して、動脈硬化の原因になります。4000種類もの化学物質を含むタバコの煙は、気管や肺などの粘膜を傷つけ、風邪を引きやすくしたり、長期的には肺がんの原因になります。そしてパフォーマンスの上で問題になるのが、末梢血管を収縮させてしまう問題です。下の図をご覧下さい。

赤い部分が体温の高い部分。青くなるになるにしたがって体温は低下している。

見ていただければ分かりますように、正常な状態では末梢まで血液が十分に行き渡っています。ところが、タバコを吸いますと末梢への血流量が減少し、皮膚温は低下の一途を辿るばかりです。冷静に考えれば分かることなのですが、プレー中には、十分に筋肉が温まっていなければなりません。ところが、このように皮膚、筋肉が冷えていては、ウォーミングアップで温めようにも、なかなか筋肉が温まりません。当然の事ながら、ケガは必然的に増加してきますし、ウォーミングアップの時間も人よりもかけなければなりません。これはあまりにも無駄ですし、効率は各段に悪くなります。そして、練習後に一服なんて吸っていれば、トレーニングで痛めたところに追い討ちをかけているようなものです。野球などの選手で「持久系の競技ではないから、タバコを吸って気分展開したほうが良い」と言う選手がいます。果たしてそうでしょうか。そんなことはありません。確かに野球はパワー系の競技ですから、その場のプレーに影響することは少ないかもしれません。ところが、シーズンを通して考えてみたらどうでしょうか。日本では135試合ですから、長いシーズンを戦うわけですから、必然的に持久力もなければやっていけないでしょうし、コンディショニングをベストに保つためには、コンディショニングに害を及ぼすことはやらないほうが得策と考えるのが常道だと思います。ところが、日本ではあまりその点を考えている選手が少ないために、試合後にタバコを吸おうが、深酒をしようがおかまいなしという状態が少なからずあります。そんな状態ですからシーズン終盤になるとよれよれ状態の選手が目についてしまうのではないでしょうか。そこでアメリカメジャーリーグを見てみれば、彼らは日本よりも30試合近く多い試合をこなし、しかも遠征距離は日本の比ではありません。しかし、シーズンの最後までベストコンディショニングを保ち続ける選手が多いのは、コンディショニングに対する意識の差だとしか思えません。タバコを吸った状態で、ケアを徹底しようが、栄養を徹底しようが効果は半減するどころか、無駄になってしまう可能性すらあります。日本はなぜかスポーツ選手の喫煙に寛容なところがあります。そんな土壌が選手の甘えを作り出しているのではないでしょうか。せっかくの素質をタバコを吸うことでダメにしてしまうなんてもったいなさ過ぎます。指導者は、もっと強くアスリートの嫌煙指導をすべきであり、選手もタバコは百害あって一利なしと自覚すべきです。リラックスするためにタバコを吸うという選手もいますが、リラックスする方法は他にいろいろあります。自分の才能を縮める行為には絶対に反対です。


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